「僕にこだわりなんてないよ。大事なのは、お客さんのこだわりを形にすることやから」と、まさに美容師の鏡のような台詞で会話を切り出したのは、船尾で約70年間続く散髪屋・村田理容の2代目、村田 和夫さんである。
かつて黒江や船尾は大層賑わい、芸妓や舞妓のいる“お茶屋筋”もあったと言う。そこで日本髪を専門に美容師をしていた母親と、散髪屋を営む父親との間に生まれた村田さんは、理容学校を卒業後、20歳で家業を継いだ。
可能な限り客の希望を叶えたいという思いから、楽しい作戦会議のごとく、客と相談をして髪型を決めてきた。テクノカットが流行した1980年代には、校則と攻防し、必要に応じて柔軟に軌道修正できるカットを編み出していたそうだ。きっと当時の学生にとって、村田さんは頼れる兄貴分だったに違いない。
「最近は、若い芸術家たちが店や工房を構えてくれたおかげで、町に活気が戻りつつあって良いね」と村田さん。昔も今も、地域の若者にエールをくれる存在だ。
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